面積と色

同じ色(カラー)でも大きさで受ける印象は違ってきます。

外壁の色を小さなカラーサンプルで決めてしまうと、実際に壁にそれが適用された場合、サンプルで受けた印象よりも明るく感じられます。 これは面積効果と呼ばれるもので、全くの同一の色でも面積の広さによって違った色彩に見えてしまうのです。 小さな面積だと低明度に感じられて暗く見える、大きな面積だと明度と彩度が高く感じるので明るく見える、これは塗装業界では有名な話です。 人間の目には広い面積ほど白っぽく見えるため、カラーサンプルで色を決める場合はそのことを考慮して色選びをしましょう。 「同じ色が大きさによって別の色に変化するなんてありえない、信じられないね」と疑う人もいるでしょうから、日曜日か祝日にでも試しに自分でサイズの違う物に 色を塗って見比べる実験してみましょう。 赤色のボールペンと全判の画用紙を用意したら、まず一面を隙間無く塗りつぶして赤色に染め上げてください。 ひょっとしたら1本では足りなくなるかもしれないので赤色のボールペンは3本位用意しておけば万全でしょう。 白い部分が1ミリもなくなるよう丹念に塗りまくってからでないと正確に判断できませんので、時間と労力を惜しまずに精一杯赤くしましょう。 頑張れば午前中に開始して午後には一面を赤色にするのが完了するかと思います。出来上がったら2枚目に突入します。 全判の画用紙2枚が真っ赤になったら、そのうち一枚は5センチ四方にカットして大きさに変化をつけてみましょう。 同じサイズのままではこの実験が成り立たないので重要な作業です。カットしたら2枚の画用紙を自分の目で比較して下さい。 きっと全判サイズの方が鮮やかで明るい赤色に見えるはずで、カットしたほうは同じ色なのに暗く感じるでしょう。 これが面積効果で、外壁のカラーサンプルでも同じ現象が起こるのです。

カラー選びのポイント

対策としては、実物は広い面積になることを考慮して少し暗めのカラーを選べば希望した感じに近いものになるでしょう。 手の平サイズのサンプルでは健康そうではない黒っぽい血液の色に見えたとしても、数メートルの壁になったら見事な赤、鮮血と呼ぶに相応しい赤色になるのです。 今回は赤色で例えることが多かったですが、それ以外の青色(ブルー)でも黄色(イエロー)でも同じ事が当てはまります。 どの色でも小さなサンプルで受けた印象よりも、巨大な壁になってみたら鮮やかな色に変化するのです。 いくら計算した結果とはいえ理想よりも薄暗く感じるカラーを選ぶのは気が進まないでしょうが、小型のサンプルで完璧だと思えるカラーを選んではいけません。 多少暗いのを選ぶべきとアドバイスを受けてもどれだけ濃い目の色にすればいいのか素人にはいまいちわからないでしょうし、 はっきりいってこれは勘に頼るしかないのかもしれません。 せめて勘の精度を上昇させるためにも、サイズによってどこまで印象が変わるのか自作のカラー画用紙で体験することをお勧めします。 もしもボールペンで塗るのが面倒ならマジックペンを使ってもいいですし、絵の具と筆を使ってもいいですし、クレヨンでも代用は可能です。 それすらも嫌だというならサイズは小さくなりますが、カラープリンタを使ってA4サイズ一杯に印刷する手も残されています。 2枚目はやはり5センチ四方の大きさにカットしますが、カットすら面倒なら小さく折りたたんでもオッケーとしましょう。 3回も折ればこの実験に意味を持たせることができる程にはサイズ差が出るはずです。